口元を触る癖がある。

 

手のひらで覆ったり、

爪でちょんちょんと唇をつついたり、

とにかくわたしはあらゆる方法で口元を触る。

 

コロナ禍に入ってからは

マスクをしていたから

自然とその癖は封印されていたが、

気付けばまた復活している。

 

 

心理学的には、

不安を感じているあらわれらしいが

果たして本当にそうだろうかと考えてみる。

 

と、思ったが

とにかく常に触っているので

どんな状況下で癖が発動されるのか

仮説を立てるのすら難しい。

 

 

角度を変えてみる。

 

一体いつからわたしは

口元をこねくり回すようになったのか。

 

覚えているのは中学生のとき。

 

部活の顧問に癖を指摘されたことがある。

彼がいうには、

特にハーフ球を狙っているときに

発動されることが多いというのだ。

 

そんなわけあるか、

何を言ってるんだと思った。

 

それはそうだ、

本人は無自覚なのだから。

 

試合の時のビデオを見せられて、

わたしは膝から崩れ落ちる。

 

めちゃくちゃ触ってる。

 

落ち着いた展開のときは

一切触らないのに、

競り出した途端にこれでもかと触り出す。

 

そして案の定その直後にハーフ球。

 

これでは初対戦の相手でも

少々勘がよければすぐに気づくだろう。

 

どうりで読まれるわけだ。

 

そのときに癖を直したはずなのだが、

今まさに指の第一関節あたりで

唇をもてあそんでいるのだから

話がおかしい。

 

部活でのことを思い出せば

緊張する場面で発動されるのだろうと

考えられなくもないのだが、

一体わたしは今何に緊張しているというのか。

 

しんと静まり返った自宅で、

時刻は午前四時台。

 

煙草を吸いながら

気ままにキーボードを叩いているのが

緊張状態だとは言い難い。

 

 

途端に諦めに似た気持ちが湧いてくる。

 

人に迷惑をかける癖じゃないから、

まぁいいか。

 

心理学的に、なんて

深く学んだわけでもないし

適応されるかどうかも怪しい。

 

手を綺麗にしていれば、

特に問題はないはずだ。

 

これを結論とすることにしよう。

 

 

次は左目を細める癖について考えなければ。